日韓の色彩語彙の対照研究

 サピア・ウォーフの仮説的な「言語相対論」的なテーゼに基づく研究対象として最も多いもの一つが色彩語彙だ。
 自然界においては連続体であって切れ目のない色彩を、いかに言語や認知は区別していくのか。一見すると、言語ごとに無制限とも思える多様性が存在するが、またその背後にはまた普遍性があるはずである。
 要はどこでバランスの取れた折り合いをつけるかということである。

 国語学の古典的な研究が佐竹昭広「古代日本語に於ける色名の性格」(国語国文24巻6号)である。
 佐竹氏は、上代日本語の基本的な色彩語彙はアカ・シロ・アオ・クロであり、これらは顔料名による隠喩であると述べた。

 一方で朝鮮語学の古典的な論文である青山秀夫「朝鮮語の色彩形容詞に就いて」(朝鮮学報39・40号)は、佐竹を引用しつつ、朝鮮語における色彩語彙について包括的に述べる。
 朝鮮語では、これに黄色が加わる。また、それぞれ日本語より細分化された語彙体系を持つ。
 日本語と朝鮮語とでは、語彙・文法ともに一対多の関係を持つ。
 例えば親族名称でも、使役・受動においてもそうであり、また両民族の文化や考え方に通じるといえるかもしれない。

 今日も雷がなった。
 雨が降って涼しくなる。
 研究室以外ではクーラーなしの健康的な生活です。