言語を生みだす本能 スティーブン・ピンカー

 暑い。
 一日だべる。

 昔読んだ本を引っ張り出す。
 チョムスキー系の言語学脳科学・心理学系では評判になった本。
 なかなか味のある文体でおもしろい。
 ただしやはり度を越したチョムスキー生成文法礼賛が鼻につくというのが正直なところ。 
 見るべきところも少なくないのだが・・・。

 特にサピア・ウォーフの仮説をけちょんけちょんに批判しているところ。
 確かに安易な相対主義は戒められねばならないのだが、いささかウォーフへの誹謗中傷ではないかと批判される部分ではある。
 ホーピ語の時制やイヌイット語の雪・氷関係の語彙の多さは神話に過ぎず、誇張されたものであるという。
 実証の困難さが言語相対論の難しいところでもある。 
 研究であるからには、独立した客観的な基準にもとづいて進めていきたいものである。