認知意味論の方法 吉村公宏

 ハードカバーの本。
 昔もらってそのままにしていた。

 「嘘」の日米比較や所有構文などのトピックについて。
 基本的にプロトタイプ論や文化相対論的なアプローチがとられている。
 
 最初の一章が認知言語学の多くの本がそうであるように生成文法との対比にさかれている。
 つまり、認知言語学の入門・概説的な書物は生成文法にけちをつけるところからスタートしていることが多い。
 これはその学説史的由来からして当然といえば当然なのだが、また同時に「認知は生成の悪口ばかり」とか「生成批判をとったら何が残る」という再批判を受ける要因ともなっている。
 このような不毛な関係は断ち切るべきだ。
 アウフヘーベンされるべきだ。
 ジャケンドフ、ニューマイヤーなんかは事実上やってることは両者の橋渡し、アウフヘーベン的なものを目指していると少なくとも個人的には理解している。
 無知や相互不信を捨て、なんとか健全な方向を目指したいものだ。