まちがいだらけの日本語文法 町田健

 しばらく前に買ったまま放っておいたのを引っ張り出してきた。

 伝統的な国語学や中高で習う国語文法の不十分な点を現代の日本語記述文法や理論言語学の観点から検証する。
 一つには「文節区分」。
 「ね」を入れて区別するとか中学で習ったものだが、やはり今思い出すと明確な定義ができないものなのであろう。
 結構いい加減なことを教わっていたものだ。

 動詞の自他対立、日本語における関係節など何気にレベルの高い話も出てくる。

 面白いのは「まちがいだらけ」の国文法が現在までなぜ受け入れられたかという史的考察の部分。
 著者は橋本進吉時枝誠記ソシュール思想の受容のあり方にそれを求める。
 なるほど確かに町田氏はソシュールが好きだねえ。
 加賀野井秀一氏といい、近年はソシュールを見直すのがはやっているのだろうか。
 近年の理論言語学が行き詰まりを見せていて、原点回帰を目指しているということなのだろうか。