百済三書と日本書紀 山尾幸久
朝鮮史研究会論文集15 pp5-40 1978
諸事情で図書館で各種の文献を調べることに。
その中で見つけたのがこれ。
日本書紀には百済三書と呼ばれる百済系の歴史書の引用がある。
百済記、百済本紀、百済新撰がそれである。
これらの扱いには難しいところが多かったが、日本よりの誇張があるにしても、百済が滅亡した際に亡命した学者が持ち込んだ、あるいは持ち込んだ資料に基づいて日本で編纂された、とするあたりが穏当であるらしい。
山尾は、緻密な文献批判を重ねつつ、その性質に迫る。
日本書紀の5、6世紀の朝鮮半島関係の記事の多くはここから引用されたものではないか。
また、日本書紀の年代もこれらの史書によるらしい。
いくつかの点で不整合が見られるのも、なまなかな引用によるものか。
個人的には固有名詞の漢字表記の推古朝時代のものとの関連性がやはり気にになるところである。