帰ってきた井真成

 国立博物館。いいよ。雰囲気が好きだ。
 何と言っても目玉は井真成墓誌。ごつい石に薄く文章が彫られている。
 色々意味合いが見いだされる。
 この展示の公式見解は多くの日本人学者の説に従って真成は19で唐に渡って十数年研究したことになっているが、中国側では異なる見解が有力らしい。つまり、彼は三十路を過ぎてから唐に渡り、さほど時を経ずして亡くなったという。そうするとずいぶん印象が異なってくる。まだ色々な意味で彼を主人公にした歴史小説は書かれまい。
 思ったより展示品は少ない。唐代文化といっても漠然としすぎか。